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COEでの主な研究内容 心筋細胞の分子機構解明と創薬・医工連携の推進
研究代表者 堀 正二(教授)
所属 医学系研究科 情報伝達医学専攻 病態情報内科学講座(内科学第一)
キーワード 分子・細胞生物学 、器官発生 、遺伝子工学 、光工学 、心筋細胞工学
T 心臓の発生と形態形成
U 心筋細胞の肥大・細胞死の分子機構
V 光量子による分子機構制御
 T 心臓の発生と形態形成
 心筋細胞は種々の分化、増殖因子により中胚葉の外側領域より発生します。その後、両側に存在する心筋細胞群は正中に向い、管状構造を構成し、さらにいくつかの回転と各所の融合を繰り返し、4つの内腔と4つの弁により構成された成熟した心臓を完成させます。現在まで、この一連の形態形成に関わる因子についてはほとんど理解されていません。
 我々は、心臓の発生における種々の因子の機能解析をニワトリ胎児へのRNAi法による発現欠損とレトロ・ウイルスを使った過剰発現により行っています。その結果、心臓の初期形態形成に神経軸策誘導因子として知られているセマフォリン分子の新規タイプ(Sema6D)が重要な役割を担うことを発見しました。
 現在、哺乳動物での役割を解析するためSema6D欠損マウスの作成を行っています。本COEでは、心臓の先天的異常とSema6Dの遺伝子変異について検討します。
 U 心筋細胞の肥大・細胞死の分子機構
 心筋梗塞、心筋症、弁膜症、高血圧など全ての心疾患時に、圧負荷・容量負荷に応じて、心筋細胞は心筋細胞肥大を起こし、ストレスに適応しようとします。しかしながら、そのストレスが過度そして長期間に及ぶと、心筋細胞は細胞死を起こし、心臓は拡大し、心不全に陥ります。本研究では、心筋細胞肥大・細胞死の分化機構を明らかにし、心不全治療におけるターゲット分子を同定し、新規心不全治療法を開発します。

 我々は近年の研究で、心筋細胞肥大と心筋細胞死に、MAPキナーゼ、特にアポトーシスに関係しているといわれているapoptosis signal-regulating kinase1(ASK1)が、そのノックアウトマウス心不全発症に対し耐性を持っていることから、重要な働きをしていることを明らかにしました。本研究では、ASK1が心不全治療のターゲット分子となりうるかを、心不全モデル動物にその活性を阻害する変異体を遺伝子導入することにより検討します。また、ASK1の下流に存在する心筋細胞死に関わる物質を、プロテオミクス及びゲノミクスの手法を用いて網羅的に同定します。
 さらに、同定した物質の機能を細胞生物学的あるいは遺伝子改変マウスを用いて検証します。
以上より、ASK1を含めた心筋細胞死に関わり心不全発症に重要な役割を果たしている分子をターゲットとして創薬を行い、臨床応用を目指します。
 V 光量子による分子機構制御
 波長の短い紫外光や可視光は、蛍光顕微鏡観察時に経験するように不可逆的なダメージを容易にもたらしますが、光量子一個あたりのエネルギーの小さい赤外光を照射した場合では、非特異的な効果は小さく相対的にダメージを小さく止めることができます。一方で、我々は分子内の特定の化学結合に共鳴・選択的に吸収される赤外光を選択し、ターゲットとしたタンパクやペプチド分子のみの活性化や分解等の構造制御手法の開発に成功しました。
 本COEでは、レーザー光照射を酵素反応の代替に用いてのレーザースポット下のピンポイント生理活性制御や、細胞内物質導入技術と組み合わせて薬物や制御因子としてのタンパクやペプチドのデリバリー・システムとの一元化により、微小な細胞環境と分子機構制御の手法を探求し、生命科学への実用を目指します。
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